ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. カジノの海外就職
2021.02.16

カジノの海外就職

カジノの海外就職

ラスベガスやシンガポールなど海外のカジノ(IR)で働くことは、カジノディーラーを目指す方の憧れです。私も実際に海外のカジノで働き、また多くの学生を海外カジノに送り出してきました。しかし、実際に日本人が海外のカジノでディーラーとして働くことは決して容易ではないことをご存知でしょうか。

そこで、私が経験してきた海外のカジノで働くための課題と実例についてお話します。

まず、海外のカジノで働くには、就労ビザが必要となります。当然、カジノ企業に採用されれば、その会社がビザスポンサーとなってビザを発給手配してくれます。しかし、カジノディーラーという職は、基本的に自国民もしくは永住権者に限られるという壁が立ちはだかります。前章で述べたように、カジノディーラーは、厳正な国の審査を受けてカジノ管理委員会から許認可を受けた者しか働くことが許されません。その規定条件に自国民であることとされているのです。ラスベガスでは、グリーンカード(永住権)がないとオーディションを受けさせてもらえません。

これは韓国やマカオ、ヨーロッパも同様です。

私が働いていたシンガポールは、国の制度によって外国人の雇用枠が認められています。シンガポール人5人の雇用に対して1人の外国人雇用が許される仕組みです。そのため、シンガポールのカジノでは約17%は外国人ディーラーが勤務できることになります。我々もこの制度によって、ゲーミング部門の正社員として働くことができました。尚、これには年齢制限がなく50歳の日本人が採用された実績もあります。

また、カナダではワーキングホリデーを利用して活躍される日本人カジノディーラーもいます。こちらも現地採用のため、オーディションをパスする英語力が必要であることと、ワーキングホリデーの年齢制限30歳という条件があります。


カジノディーラーとして働くための準備

カジノディーラーとして働くための準備 | IGS カジノスクール(学校) インターナショナル・ゲーミング・スクール 大阪

実際に海外のカジノでカジノディーラーとして働くには、入社後に社内のトレーニングと国の審査をパスしなければなりません。最初の約2カ月間は、ディーリングやコンプライアンスのトレーニングを受け、規定のアセスメントテストにパスしなければなりません。

世界基準となっているセキュリティ・ディーリングでは、カードやチップの取り扱い方、配当ルールや両替ルールなどマネーやゲーミング(ギャンブル)を公正かつ安全に取り扱うための基礎的なディーリングプロシジャーを叩き込まれます。一つ一つの業務手順の全てにセキュリティのルールが設けられています。カジノディーラーはその意味を理解することが大切です。

カジノディーラーは、ゲーミングフロアにおいて、唯一現金とチップを直接手で触ることを許されたポジションです。それ故に、銀行員と同じような厳しいセキュリティのトレーニングが求められます。正しい知識と業務手順、不正の防止など、世界基準に準じたセキュリティディーリングを習得しなければいけません。

そして、カジノディーラーにとって最も大切なことは不正を許さず、自身も行わないことです。不正にも幾つかのパターンがありますが、不正をしたらどういう事態になるかを教えられます。以下、カジノディーラーが知っておくべき不正の種類です。


<ゲームにおける注意すべき不正行為> 
Game Protection for Cheating!!
  1. Past Posting  ・・・ 
    勝敗が決まった後にBETをおく
  2. Late Betting  ・・・ 
    No More Bets! の後にBETする
  3. Bet Switching ・・・ 
    負けたBETを勝った方に置き換える
  4. Bet Topping  ・・・ 
    勝ったBETにチップをTop-upする
  5. Bet Pinching  ・・・ 
    負けたBETからチップを差し引く
  6. Dealer Distraction ・・・ 
    ディーラーの気をそらす

長く働いていれば、こうしたプレイヤーの不正行為に遭遇することもあります。そんな時にどう対処すべきか、落ち着いて速やかにフロアボスに報告しましょう。


カジノディーラーのライセンス

カジノディーラーとして華やかなカジノの舞台にデビューするには、もう一つ、国の管理機関が定める信用調査と面接審査にパスしないといけません。何度も言いますが、カジノディーラーは日々大量の現金やチップ(歴とした代用貨幣)を素手で扱う仕事のため、その人がその職に相応しいかどうかの信用判断を受けないとなりません。カジノは、現金やチップが溢れ飛び交う特殊な空間なので、信頼性、公正性、健全性が認められる人材しかゲーミングに携わることが許されないのです。

これはカジノディーラーだけでなく、カジノフロアで働くウェイトレスやセキュリティガード、キャッシャーやメカニックも例外ではありません。以下、私が海外のカジノで勤務する際に提出を求められた書類です。

<一般的な信用調査の提出書類>
  • Educational Background (学歴)
  • Business Career (職務経歴)
  • Medical Examination Report (健康診断書)
  • Family Structure (家族構成)
  • Bank Accountment (預金残高証明書)
  • No Criminal Record (無犯罪証明書)
  • Credit Bureau (借入残高証明書)
  • Drug Test (薬物テスト)

入社前にこれらの書類を提出した上で、入社後に国のカジノ管理機関に呼び出されて面接を受けることになります。そこでは、事前の提出書類に不備や虚偽がないかを確認されたり、なぜカジノで働きたいのかや将来の目標について質問されることもあります。この個別面接は、数人の面接官を相手に2時間に及ぶ場合もあります。

晴れて面接審査をパスすれば、カジノ管理機関からゲーミングフロアで働くことを許可するライセンスが発行されます。このライセンスカードには、個人のライセンスIDと顔写真が記載されていて、勤務中は常に制服の胸元につけていなければなりません。そして、個人がいつどのテーブルで勤務していたか、どのような不正を行ったかが国の管理機関によって監視・追跡されるのです。

このように、海外で働くカジノディーラーには、厳しい審査とトレーニングが求められるのです。


IGSが伝える教育とは

当校では、海外カジノの第一線で活躍したキャリア人材をトレーナーに迎え、本場カジノが採用するトレーニングプロシジャーに基づいて総合教育を提供します。基礎的なセキュリティ・ディーリングは元より、海外カジノの文化の違いやエピソードトークも皆様の今後のキャリアに役立つことと思います。

日本のIR開業までに世界基準のカジノディーラーとしての総合的な資質を備え、海外キャリアに向けて準備を始めませんか。

卒業後は、ラスベガスとイタリアのカジノスクールへの短期留学プログラムに参加して、海外のカジノディーラー修了証を取得していただけます。また、海外就職を目指す方には、当校が提携するカジノ企業への就職サポートも行います。


文 IGS大阪校校長 北垣智佑貴

本文の無断複写・転載は、禁じられています。